2020年03月25日

スゲとスガ

スゲとは、カヤツリグサ科スゲ属の総称であり、非常に多くの種類を含むグループである。


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★カンスゲ(植栽)



菅という漢字は、「すげ」とも「すが」とも読む。

これは、稲という漢字の読みに「いね」と「いな」があるのと全く同じ理屈だ。

「稲」に関して言えば、それ単独では「いね」と読み、「稲穂」「稲作」「稲田」「稲妻」のような複合語の中でのみ「いな」と読む場合がある。

「いね」と「いな」のどちらの方が古い日本語なのかは両論があるようだが、私の手元の古語辞典には「”いな”は”いね”の古形」とあるので、それを前提に考えてみる。

なぜ「いな」が「いね」に変わったのか。一つの仮説として、助詞が未発達な段階で「いな」を主語や述語として使う場合に「イ」という音を語尾につけて名詞であることを強調したのではなかろうか。

すなわち、
  「稲植えた」
  →「いな、植えた」
  →「いなィ植えた」
  →「いねェ植えた」
  →「いねを植えた」
という変化が考えられる。
  (「アイ」が「エー」に変わるのは、「小さい→小せえ」「うるさい→うるせえ」と同じ。「植えた」は現代語だが分かりやすくするため用いた)

このように、「いな」はいつしか「いね」と呼ばれるようになったが、「いな」の音は複合語の中で残った。

目(ま→め)、手(た→て)、毛(か→け)、胸(むな→むね)、爪(つま→つめ)、雨(あま→あめ)、風(かざ→かぜ)、竹(たか→たけ)なども同様だ。


菅も「菅原(すがはら)」「菅枕(すがまくら)」のような複合語の中に「すが」の音を残しつつ単独では「すげ」と呼ばれるようになったのだが、地名や苗字では「菅」の一字で「すが」と読むものも多い。

これは「菅」という地名や苗字の多くが菅原に由来するためとも言われるが、菅という言葉が植物のスゲよりも人名の菅原のイメージが濃くなってしまったこともあるのだろう。

ともあれ、スゲがスガという古形を残しているという事実は、これが非常に古い日本語であることを意味している。古代から人間の生活の身近にあったことの証明である


   ※ ※ ※


ただし古代の「すげ」はスゲ属だけでなく、全く別の仲間だが姿の似たヤブランやジャノヒゲなどまで網羅した言葉だったと考えられている。


スゲの種類は非常に多いが、よく目にするのは大型のカンスゲや小型のヒメカンスゲなど。どちらも山野に普通に見られ、庭や公園などにも植えられる。

菅笠や蓑の材料として非常に古くから使われるスゲは、水辺に生えるカサスゲという種類である。



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★カンスゲ(花)



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★ヒメカンスゲ(植栽)



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★ヒメカンスゲ(野生)



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★オオシマカンスゲ(植栽)



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★ノシラン(キジカクシ科ジャノヒゲ属)
カンスゲに似るが、全く別の仲間










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posted by zatukusa at 19:33| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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